例えば、リモートリポジトリなしで作業していた場合、誤って作業フォルダーを削除してしまうと悲劇的なことが起こります。リモートリポジトリからクローンして作業していれば、リモートリポジトリがダメージを受けた場合も、作業リポジトリがダメージを受けた場合も、どちらか残っている方からリポジトリを復元することができます。「作業リポジトリだけの場合でも、定期的にバックアップを取っておけばいい」と考えるのはナンセンス!なぜなら、作業リポジトリのバックアップのための、バージョン管理的なものが、また必要になってしまうのです。何のためにGitを使っているのかわからない。
リモートリポジトリがある利点はまだあります。いつでも、クローンし直すことができるので、作業リポジトリでは安心して冒険することができます。
それよりなにより、複数人数で開発するためには、リモートリポジトリは必須です。
共有リポジトリの作成
まずはリモートリポジトリを作るのは、サーバーの設定とかちょっと面倒なので、ローカルに共有リポジトリをつるくることをやってみます。ローカルでも小規模の開発であれば、Windowsネットワークの共有機能で、共有することで複数ユーザーがアクセスできるようになります。
今回も、作業リポジトリ作成の回で作成したソリューション”ConsoleApplication1”を例に説明します。
しかし、残念ながらVisual Studio Tools for Gitには、リモートリポジトリを作成する機能がないようです。これはVisual Studioの標準のバージョン管理機構であるTeam Foundation Serverの枠組みからくる制限みたいです。Team Foundation Serverでは、専用の管理ツールで共有リポジトリを管理するので、クライアント側には共有リポジトリの管理機構がないわけです。
そこで、Gitのコマンドラインツールを使う必要が出てきます。インストールしていない場合は、セットアップの回を参照してインストールしておいてください。
①Visual Studioの[チームエクスプローラー](表示されていない場合は、メニューから[表示]-[チームエクスプローラー]を選択)で、[ホーム]ボタン(家のアイコン)を押して[ホーム]ページを表示し、[Commits]を選択します。
②[Actions]プルダウンメニューから[Open Command Prompt]を選択します(普通に[コマンドプロンプト]を起動しただけだと、ツールのフォルダーにコマンド検索パスが通っていないようです)。
③以下のように適当なフォルダーを作成し、共有リポジトリを作成します。
ここで重要なのは、
git init --bare --shared=all
④共有リポジトリができたら、Visual Studioの[チームエクスプローラー]に戻り、[Commits]ページにある[Publish to Remote Repository]に、③で作成した共有リポジトリのフォルダーを指定して、[Publish]ボタンを押します。
⑤成功すると、以下のようにメッセージが表示されます。
以後、共有リポジトリとのアクセスはこのページから行います。基本的には[Sync]ボタンを押せばいいようになっています。そのほかに、[Pull]、[Push]がありますが、これは”git pull”、”git push”に相当するものですが、[Sync]は”プルしてプッシュ”を一度にやってくれます。
リモートリポジトリからのクローン
説明の順番が逆になってしまいましたが、通常作業を始めるときは、この作業から行うことになります。順番としては
- クローンする
- ソースを編集する
- コミットする(2と3を必要な回数だけ繰り返す)
- シンクする(プルしてプッシュ)
①[チームエクスプローラー]で[接続]ボタン(プラグのアイコン)をクリックし[接続]ページを表示します。
②[Clone]を選択すると、以下のようにエディットボックスが展開されます。上段のボックスにクローン元のリモートリポジトリを、下段のボックスにはクローン先のフォルダーを入力し、[Clone]ボタンを押します。
③成功すると、以下のようなメッセージが表示されます。クローン先で指定した位置に、作業フォルダーが作成されているので、ソリューションを開くことができるようになります。
これで、Visual Studio Tools for Gitに関しては大体の機能が使えるのではないかと思います。
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